発達障害者・アズ直子さんの講演会を聴いてきました!(2016.1.9@渋谷フォーラム8)

1月9日、渋谷のフォーラム8で行われたアズ直子さんの講演会に参加してきた。
アズさんは発達障害を持っている方で、昨年12月に「世界仰天!ニュース」にも出演され、今、とっても注目されている女性のお一人だと思う。

仕事がら、私は子育てに関する書籍や情報を集めたり、学んだりすることが多く、最近は発達障害のことを調べていたのだが、私がアズさんの存在を知ったのは「生協」の毎週の注文チラシに載っていた書籍の広告がきっかけだった。今思えばものすごい偶然だったけど、ちょうど学んでいる時に目に飛び込んできたので、すぐに書店で内容を見て、『アスペルガーですが、妻で母で社長です。』を購入して書籍は読んでいた。

アズ直子著作1冊目-211x300

この書籍には、アズさん自身が生きづらい理由がわかってからの「マイルール」が示されていて、ご自身のご苦労の上で見つけたものをこんな風にわけていらっしゃることをとても素晴らしいなあと感じていた。
そんな、本との出会いがあった上での講演会参加だったので、とても楽しみにしていった。

今回の講演会のテーマは「発達障害当事者の工夫と周囲に求める支援について」。
発達障害者当事者から、具体的にどんなことが健常者との違いとしてあるのか、障害を見えるようにして説明してくれた。

特徴的だなあと思ったことはいくつかあったが、中でも講演が始まる時に、講演者であるアズさんから、<環境設定>という案内があった。
聞く姿勢はリラックスモード!で、そして
会場は出入り自由で息苦しくなったら、いつでもスタッフに声をかけてもらっていいし、楽に聞いてほしい。
という案内だった。
また、講演の聞き方として、
○今日までの自分をほめる事 
○自分がしたいことから始める事 
○変化には「階段」が必要
 
ということを語ってからの講演だった。
最初は「どうしてこういう案内をするのかな・・」と思ったが、講演に入り、発達障碍者の特徴を聞いていくうちに納得した。

アズさんは、「ADD(注意欠陥障害)の傾向が強い、アスペルガー症候群」という診断を受けている。
発達障害とは、脳の発達に偏りがあり、「学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)・注意欠陥障害(ADD)・自閉症」などの症状があることをいう。
発達障害は診断がしにくいと言われている。その要因として、診断を出せる医師が少ないこと、誤診が多いということがある。他の病気と症状が似通っていることが多く、区別がつきにくいのも要因の一つだ。そして、一見するとどこに症状があるのかわかりにくい部分があり、症状が見えにくいために、「障害」が見えにくいということも特徴の一つだ。アズさんは、発達障害を持つ人のことを 「心と身体が過敏な人」 ととらえていると話していた。

自分に障害があると知らない頃のアズさんの記憶として、いくつか紹介してくれたこととして、「匂い」「苦手なもの」があった。
小学校の時の強烈な匂いは、「給食・絵具・墨汁・床につけるワックス・体育館にあるマット(カビの匂い)」という。
これらが混じり合うと、生あくびが出て、頭痛が始まり、気持ち悪くて吐いてしまうという体調不良になってしまう。
小学校に上がってから、些細なことがストレスになってしまうため、気持ちがあっても体が持たず、学校にいけない時期があったという。今でも、乗り物や体臭、たばこ臭さ、洗剤や消臭剤、人工香料などに過敏に反応する体質なのだという。また、人混み(音や人の気配)、しめつける服、握手やハグ、音や光、匂いがいっぱいの家電量販店なども苦手なエリアなのだという。
講演しているアズさんの様子を見ている限り、とてもそのような身体的、精神的な状態があるようには見えない。なるほど、確かに外見からは「障害」が見えにくい。具体的に語ってもらい、障害を「見える化」してもらい、心がけられるようになるのだと感じた。そして、講演が始まる前にアズさんが「環境設定」や「講演の聞き方」といった事を案内した訳をようやく理解できた。つまり、今回の参加者には発達障害の諸症状を持っている、あるいは傾向を強く持っていると自覚している方がいらっしゃって、その方々へ細心の心遣いからの案内だったのだ。これこそ、当事者であるからこその共感、手厚い真心だと感じた。

講演ではアズさんがアスペルガーと診断されてから少しずつ生きやすくなった現在、自分の持つ障害との上手な付き合い方の一端と、サポートする人へのお願いごとを紹介してくれた。
発達障害を持つ自分がうまくいくようになったこととして、「ルール」を作るというもの。自分をコントロールする方法、自分に合った自分のルールを見つけていく事の大切さを力説していた。頑固な自分を納得させてルール化する、納得すれば忠実に繰り返していける自分自身の特徴をうまく利用して、<朝8時にスタバに行く>などのルールを守っているという。
そして、サポートする人に対しては、<お話しルール>として、1対1で話す、1フレーズ・1テーマ、あいまい・比喩表現はNG など、外国人に伝えるなら気を付けて話すように、まるで外国人に対するように伝えるように心がければコミュニケ―ションが成り立つとのことだった。

他にも、多くの有益なことをお分けくださった有意義な講演会だった。そして、当日の会場には、複数のセラピストが招かれていて、セルフケア、ホームケアをすることで発達障害者が陥りやすい体調不良の諸症状を自分で対処できればさらに生きやすくなるという、アズさんご自身の創意工夫の知恵を余すところなく分けてくださる機会でもあった。
すばらしい!自分の体験が多くの人の役に立つ力に変えていることへ、素直に大きな拍手とエールを送りたい!そして、私も理解者、サポーターとなれるよう、こころがけていきたいと感じる意義深い学びだった。

アズ直子さんのことを知りたい方は、公式HP http://asnaoko.com/