10月6日「憲法カフェ」レポート!

K.cafe 憲法カフェ 1006

《さわやかな秋晴れの中、Kcafe第1回を開催しました。今回は憲法カフェ。》

「私たちと子どもの未来を守る憲法」初級編~憲法によって守られている私たち~というテーマで、明日の自由を守る若手弁護士の会(以下、あすわか)所属の種田和敏弁護士を講師に迎えて、楽しく学び語り合いました。

まず「憲法」について

  • あすわか作成の「王様をしばる法」~憲法のはじまり~という紙しばいを見ました。この紙しばい、憲法ができるまでの歴史や憲法の役割、存在意義など、コミカルなタッチの絵とわかりやすいナレーションをとおして学べるとってもおもしろい紙しばいでした。これだったら子どもでも理解できるな!という印象を受けました。(「王様をしばる法」で検索するとYouTubeでもナレータつきで見られます!
  • 「憲法」とは、「国民」が「政治をする人」に対して、「~したらダメ」「~しなきゃダメ」と命令するルール(きまり)のこと。つまり憲法は「権力」が好き勝手することをしばる役割を果たしていて、憲法を守らなければいけない主体は「政治をする人」(=国会議員や裁判官、公務員)なのだということ。これって、中学の公民とかで学んだような気もするけど、「へーそうなんだ!」と納得。
  • ところが、自民党が2012年に出した「自民党憲法改正草案」は、憲法を守らなければいけない主体が「政治をする人」から「国民」となり、そもそも憲法が持つ「権力」をしばる役割が根底からひっくり返されていて、戦前の憲法に戻る内容になっているとのこと。「えっ、戦前にもどそうとしているわけ?」と思いました。

続いて、つい最近まで国会で議論され、強行採決された「安保法」について。

  • この法律が定めているのは「集団的自衛権」の行使容認ということ。「自衛権」とは、かんたんにいえば自分をまもる権利のことで、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の2種類。「個別的自衛権」とは、自分の国が攻撃された場合に反撃すること。
    「やられたらやり返す」の理屈。もう一つの「集団的自衛権」とは、自分の同盟国=トモダチの国が攻撃された場合に、一緒に反撃すること。「あいつ、別のヤツからやられているから一緒にやり返そうぜ」ということ。
  • そして、「集団的自衛権」の行使容認、つまり<集団的自衛権を使うことを認めた>というのは、アメリカとトモダチの日本が、アメリカと一緒に戦争する国になるということ。
    それって、イメージするとこんな感じ?

    アメリカ「おい、NIPPON、アイツ、なんか悪いことを企んでいるから、しめに行くぞ」
    日  本「Yo、アメリカ、おれも一緒に行くぜ」

    こんな感じで答えて一緒に紛争地に行くってこと?…<ジャイアンがのび太に、スネ夫が気に食わないからこらしめにいくぞ!>って言ってるようなもの?…
    「えっ、日本を守ることを考えることは大事だけどわざわざ外国まで出かけて行って戦争しようなんて考えていないよ!」と思いました。

  • 大事なポイントは、憲法を守らなければならない立場の政府が、閣議で憲法違反である集団的自衛権の行使を決定し、さらに国会の場で、無理やり多数決の力で「集団的自衛権の行使」を認める法案を通してしまったというあってはならない行為をしたこと。

    しばられるはずの「政府」が、自分で勝手にしばり加減をゆるめてしまったことに対して、まずは、「それって、憲法違反ですよ!(=違憲)」ときっちりと声を上げていかないとこの先なんでもOKになってしまうと教えてもらいました。

    「権力をしばっている縄を、自分で勝手にゆるめてしまって好き放題にやろうとしている状態をほおっておいていいと思いますか?」という言葉に、稚拙であっても自分で考え行動することをしていかなければと思いました。

「憲法と安保法」の学びの後、素直に感じた質問から議論や意見交換をしました。

K.cafe 憲法カフェ 1006

「対話でのやりとりをちょっとだけ紹介します。

Q.「そもそも自衛隊の存在ってどう考えればいいのですか?」
A.  まず、「自衛隊」=「軍隊」として認識することが大事。そもそも「自衛隊」は憲法九条から見てあり得ない存在、憲法解釈を超えた存在であること。
「自衛隊」を認めた時に、すでに権力者をしばるはずの憲法のしばり具合がゆるめられていて、今回もしばり加減を勝手に変えられている。「違憲」と声を上げていくことが大事。
Q.「日本人って、お上主義で、上から出てくるものに素直に従っていく風土があるけど、これってどうなんですか?」
A.  日本人のお上主義からすると、憲法に掲げられた権利を勝ち取ってきたという発想そのものがなじまないところ。そういう中でも、強行採決された「安保法」に対して、シールズのような、「ノー」と言える人たちも出てきて、日本に民主主義が育っているのも感じる。だからこそ、国民の意思を伝える選挙は大事で、特に直近の選挙はとても大事にしないといけないと思う。
Q.「安倍さんって、どうしてアメリカの言うことをホイホイ聞いているんですか?」
A.  日本人はアメリカに守ってもらうつもりでいるが、アメリカは、日本国の中にいるアメリカ人を守っているだけ。
そして、「集団的自衛権」を行使してほしいと思っているのは、日本の経済界の人たちもいる。今や軍需産業に関わっていない企業はない。その中で利益を出せるものを求め、「お金もうけ」のために「集団的自衛権」を容認して海外に行けるようにしたという、日本国内のニーズがあることも知っていくことが大事。

ご感想

「憲法と安保法」の種をもとにした理解や共有、一致点はどのようなものであったか、参加者からいただいた感想です。

  • 憲法は国民が政治家を縛っているということを、再認識しました。(ゆうこさん)
  • 自衛隊の活動など、よく知らなかったので知ることができて良かったです。子どもたちにどう伝えていったらよいか、少しわかったように思います。紙芝居が大変わかりやすかったです。(N・Eさん)
  • 今までほとんど憲法について考えたことがなかったのですが、このような機会をもらい、憲法について少しですが考えていかなくてはと思いました。子どもたちがあぶない。私たちが声を上げていかなくてはいけないんだということがわかりました。(H・Kさん)
  • 学んでいくこと、関心を寄せることなどがすごく大切で、その上で声を上げていくことが大事なのだと思いました。先日、地元の商店街で自衛隊をPRするために装甲車などが展示されたり、たくさんの自衛隊の方がいるのを見て驚いたばかりです。私たちの気づかないところで生活に意識に介入されているんだなと思い、恐ろしいなと思いました。政治の流れをきちんと学んで行く末を見つめていかなくてはと思いました。(N・Mさん)

今回の「安保法」成立という状況を機に、これまで、「憲法」によってあたりまえのように守られてきた「平和」な世の中だったことをしっかり受け止めること、そしてこれからどのような未来を次の世代に伝えていくのか、今、しっかりと学んで自分の頭で考え、行動することが大事なのだと気づいたカフェでした。

K.cafe 憲法カフェ 1006

《スタッフより》

  • 「とにかく動き出そう!」と、行動を始めたK.cafeの記念すべき第一回目は「憲法カフェ」。

    安保法が強行採決されるまで何度か国会中継を見ていたのですが、今までこんな大事なことにほぼ無関心で過ごしてきてしまったことへの強い後悔と恐ろしさが、同時に襲ってきました。

    憲法カフェを教えてくれた友人たちと、私たちもできることを形にしていこう!と話し合いました。

    猛スピードでチラシを作り、HPを立ち上げ、口コミでも多くの方々に協力してもらいながら、とても有意義な憲法カフェを開催することができました。

    心に思っていることを少しでも行動することで、何かが動きだすことを実感しています。

    あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)の種田先生の講義は大変わかりやすくて面白く、今は憲法の本来の意味が薄れてしまっている危険な状況であることや、これから私たちが起こす小さなアクションの一つ一つがとても重要なんだということも教えてくれました。

    参加者からの質問にも熱心に答えてくださって、これからもっと対話がしたい!というところで時間切れになってしまったのが残念です。

    また改めて、種田先生をお迎えして憲法カフェを開催したいと考えています。
    今回ご都合のつかなかった方々にも、ぜひご参加いただきたいです。(T)

  • 種田弁護士は、日頃は地域の身近な法律問題を扱うマチ弁(町の弁護士)として活躍するのとあわせて、社会活動にも積極的に取り組まれているとのこと。2012年6月に、自衛隊が武装した姿で街を行進する訓練を目にしてものすごい違和感を感じたことが活動のきっかけとなり、「自衛隊をウォッチする市民の会」を立ち上げ、自衛隊の様々な活動をチェックしているとのこと。対話の時間のとき、「自衛隊員一人ひとりは、みな真面目で使命感と誇りを持って任務にあたっている素晴らしい隊員たちで自分は大好きなので、その自衛隊員一人ひとりを守りたい」ゆえに、自衛隊の活動がおかしいところは是正を働きかけているとおっしゃっていました。

    「個人の人権」を守るために、実際の場面で行動している弁護士さん。活動の一端を聞くことができ、「素晴らしいなあ」と心がほっこりした一時でした。(H)

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