『だけじゃない「憲法」』を読んで。 

『だけじゃない「憲法」』 種田和敏氏(明日の自由を守る若手弁護士の会所属)

憲法カフェの講師、種田弁護士の著書。

だけじゃない「憲法」

日本国憲法と言えば、「九条」が有名かつ、日本国憲法の象徴的存在であることは皆が知っているところであるけれど、九条だけじゃないその他の条文がいかに私たちの生活に深くかかわっているかを、サラリーマン、主婦、子どものそれぞれの立場からの視点を通して憲法を学べる内容だ。

実際の生活の場面に視点をあて、憲法の理念が法律として具体的に施行され、私たちの生活が守られる仕組みが示されていて、とてもわかりやすく、あっという間に読み終えた。

空気や水がなくなれば、人間が身心共に健やかに過ごせなくなるが如く、憲法はまるで「空気や水」のように、当たり前で、でも人間が人間らしく生きていくのになくてはならないものであることを理解できた。安保法の成立を機に、今の私はあたりまえのように思っている「平和」が、実は憲法の砦によって守られていることへの感謝と、だからこそ今、憲法の果たしている役割をしっかりと理解し、尊い理念を次の世代につなげていけるよう、大人として今できることを地道に努力していこうと思った。

ちなみに、種田弁護士が「中学生でも読めるよう、優しく書いた」と言っていたので、我が家の中2の娘に渡して読んでもらったところ、なかなか興味深い感想文を寄せてくれた。長いがそのまま紹介したい。

母にすすめられてこの本を読んでみて、私でもなんとなくわかる例えや考え方が出てきて「なるほど」と思う本でした。その中で特に印象に残ったのは、<憲法第二十一条>出版等の表現の自由は、これを保障する。検閲はこれをしてはならないという条文です。私は読書好きでいろんな本を読んできたのですが、『図書館戦争』という映画化された本があります。この本は少し前の架空の日本で出版などの表現の自由が奪われ、それに対抗する唯一の図書隊が本の表現の自由を守るために戦うという話です。憲法第二十一条がなければ、もしかしたら『図書館戦争』の内容と同じような事が起こってしまうかもしれないと思いました。今までは他人事だったけれど、図書館戦争のようなことが起きてしまうかもしれないと想像して、憲法に対する価値観が少し変わりました。

もう一つ印象に残ったのが<憲法第二十二条>何人も居住、移転及び職業選択の自由を有するという条文です。私はまだ中学生なので考えるには早いですが、もっと大人になると「就職」を考えないといけなくなります。今は将来、何になりたいか、どんな職業につきたいか、何となくイメージがふくらんでいます。でも、憲法第二十二条がないと、就職自体も自由に選べなくなることもあり得ます。そういうことがないのはこの憲法があるおかげだと思いました。

私の母は最近、憲法カフェを始めたそうです。少し流行にもなっているとこの本に書いてありました。安保法などが出される中、少しでも多くの人に憲法が身近なことに関わっているということを知ってほしいと、この本を通じて思いました。本をすすめてもらって良かったと思いました。この後の日本がどのように変わっていくかはわからないけれど、自由と平和の象徴といえるこの国の憲法を変えないでほしいと思います。

なるほど!中学生でも理解できる内容だったことが証明されたようだ。親子でリラックスして憲法を語るには最高の書籍だった。今後も気軽に憲法カフェならぬ、“親子で憲法トーク”を続けていきたい。